友達の作り方

卒業や入学、就職や転職、新しい土地への引っ越しなど、人生の大きな変化を迎える人も多い春。新たな出会いに期待もある反面、「友達はできるかな」「独りぼっちなってしまったらどうしよう」などと不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

子供の頃は特別な努力をしなくてもすぐに打ち解けることができたのに、大人になるとなかなかできない友達。

どうしたら友達を作ることができるのでしょうか。

友達は必要か?

友達がいない人を「ぼっち」と呼んだり、「ぼっちがばれるのが恥ずかしいので便所飯をする」なんていう人もいるそうです。

「友達がいないと孤独で可哀そう」というイメージを持つ人もいるようですが、そもそも友たちは必要なのでしょうか?

幸福学の研究で、幸福のための条件の一つに「人とのつながりがあること」ということがあります。人間には親和欲求といって人とつながりたい、という基本的な欲求があります。

どんなに裕福だとしてもそれを分かち合える人がいなければ人は幸せを感じられません。

そのような意味では友達はいるに越したことはないかもしれません。

ただし、それは友達の数が多ければ良い、ということではなく、どのような質をもったつながりであるか、ということが大切になってきます。心から信頼でき、深くつながりあえる間柄である友人が一人いれば充分であると言えるのです。

共感、共有する

ではどのように人と繋がるのか、ということですが、それには「共感」と「共有」ということがポイントとなります。

心理学では「類似性の法則」という言葉があります。人は、自分と同じ、または似たような考え方を持つ相手に対して、「一緒にいると自分の考えが認められている」という心地よさを感じます。

例えば、同じ年頃の子供を持つママ同士や、同期入社同士、同じ土地に越してきた人同士、などは相手の気持ちに共感することができ、お互いの悩みを共有しやすいかと思います。

このように相手との類似性を見出し、相手の気持ちに共感して悩みを共有すると絆は深まります。


自己開示する

そのためには、まず「自己開示」することが大切です。

自己開示とは文字通り、自分をオープンにすることです。

「私は今、こういう状況で、こんな風に感じている、そしてこんなことを不安に思っている」など、自分の状況や気持ちを相手にオープンにすることです。

この「自己開示」には返報性という性質があり、自己開示すると、相手からも同じレベルの自己開示が返ってきやすいのです。

「実は私も同じようにこんな不安があるんだよね」とお互いに親しみを増しやすいのです。

力み過ぎない

新しく人と知り合うと、緊張して疲れてしまう人がいます。

それは「相手から良く思われたい」と力み過ぎていることが原因です。このような方はいつも「自分が人からどう思われているか」ということを気にしすぎる傾向があります。

「相手から選ばれるかどうか」を気にするよりも、自分にとって合う人なのかどうか、

「自分が相手を選ぶ」という視点を持ちましょう。

課題を分離する

精神科医であり心理学者のアルフレッド・アドラーは、悩みのすべては人間関係の問題である、と言っています。それは主に「他人の課題に土足で踏み入ったり、自分の課題に土足で踏み入られることによって起こる」ということです。

つまり、私たちは相手と自分との境界が曖昧になってしまって、「相手は私のことを快くおもっていないのではないか」「自分の言動が相手を不快にしてしまうのではないか」などと悩んでしまう、なんていうことが良くあります。

自分の言動に対して相手がどのような反応をするか、というのは相手の課題なのです。

同じように相手の言動に対して自分がどう反応するか、というのは自分自身の選択であって自分の課題なのです。このように自分と相手の課題を分離することが大切です。

人間関係は時としてストレス要因にもなり得ます。そうならないためには、どんな人間関係であってもそこには適度な距離感が必要なのです。


「友達ができない」と悩む方がいらっしゃいますが、友達を作ることは目的ではなく、ともに時間を過ごす中で結果としてできるものなのではないかと思います。

友達はいるに越したことはありませんが、絶対にいなければならない、というほどのものではありません。「類は友を呼ぶ」という言葉があるように、合う人が現れない時は無理をせず、自分自身を磨く時間にあてることが大切です。

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カテゴリ:コラム