フラストレーションの解消法

コロナウイルスによる外出自粛要請により、フラストレーションが溜まっている方が多いのではないでしょうか。

「フラストレーション」とは、欲求が何らかの障害によって阻止され、満足されない状態、また、その結果生じる不快な緊張や不安、不満のことです。

似た言葉に「ストレス」がありますが、ストレスは外的な要因により生体内に変化が起きる物を指すのに対し、「フラストレーション」は内的な欲求が阻害されたときに起きる感情です。

「本当は旅行に行きたい。でも、外出自粛要請があって行けない。」このような場合に「フラストレーション」を感じるのです。

では、フラストレーションが溜まるとどうなってしまうのでしょうか。

またどのように解消すればよいでしょうか。

  • フラストレーションが溜まるとどうなるの?
  • 欲求不満耐性とは?
  • フラストレーションを解消するには?
  • フラストレーションが溜まるとどうなるの?

    フラストレーションが溜まると、私たちは無意識のうちにそれを何とか解消しようとします。それが健全なものであれば問題ないのですがそうでない場合もあります。例えば、

    ①攻撃的反応

    他者に対する攻撃や、破壊的な衝動が見られるようになる場合があります。

    コロナウイルスによる外出自粛でDVや幼児虐待が増加しているという報告があります。 これはフラストレーションを他者を攻撃することによって解消しようとしているとも言えます。

    ②退行反応

    いわゆる「赤ちゃん返り」です。幼稚な行動をとったり、甘えたり、という行動がみられることがあります。特に子供は指しゃぶりやスキンシップの要求など顕著に退行反応が見られることがあります。

    ③逃避反応

    フラストレーションによる緊張状態から逃れようとすることです。 ゲームやネットなどの仮想現実の世界に逃げ込み、現実逃避しようとする場合があります。これは程度の問題で、何かを空想し心を遊ばせることは誰でも必要なことではあります。

    ただ、あまりにも逃避の度合いが強くなってしまうと現実を受け止めることができなくなってしまいます。

    ④抑圧反応

    フラストレーションを見て見ぬふりし、無意識に押し込めてしまうことです。でもやがて限界が来ると身体の不調となって表れることがあります。また、日常で果たせない思いが夢になって表れることもあります。

    ⑤固着反応

    役に立たない行動を無意識に反復すことを言います。例えば、貧乏ゆすりや爪かみなど普段無意識に行っている癖が強く出る場合があります。

    欲求不満耐性とは?

    では、健全な方法でフラストレーションを解消するにはどうしたらよいでしょうか。

    ドイツの心理者ローゼン・ツヴァイクは人にはそれぞれ「欲求不満耐性」というものがあると言っています。欲求不満耐性とは欲求不満の状態に耐えて状況を受け止め、どう対処したらいいのかを冷静に分析し、乗り越えていく能力だと説きました。

    この欲求不満耐性は、基本的にはその人が育っていく環境などによって作られるものです。

    子供の頃、欲しいおもちゃを買ってもらえず我慢をした、という経験は皆さんもあるかと思います。そのように欲求不満に耐えたり、心の中で折り合いをつけたりすることで欲求不満耐性を育んでいきます。

    ただ、総じて現代人はスマホやインターネットなどの生活環境が充実しているため、自分の欲求がすぐに叶うことに慣れてしまっています。そのために欲求不満耐性が低い人が多くなっていると言えるかもしれません。

    ではどうしたら健全にフラストレーションを解消することができるのでしょうか。

    フラストレーションを解消するには?

    いくつか方法があるかと思いますが、

    例えば

    ①欲求が叶ったことのメリット・デメリットを考えてみる

    欲求が叶うというのは確かに嬉しいことですが、物事には必ず両面があります。 叶ったことによって失うものもあるはずです。 例えば、「旅行に行きたい。でもコロナ感染のリスクがある」という具合です。

    両面を冷静に眺めてみましょう。

    ②欲求を満たす他の方法を考える

    「友達と飲みに行きたい。でも、自粛しなければならない。」そんな今、Zoom などを使ったオンライン飲み会が流行っているとのことです。何か他の方法があるか考えてみるというのも一つです。

    ③他のことに目を向ける

    「本当は外に行きたいけれど家にいなくてはならない、だったら家の中で楽しめることを何か見つけよう」ということです。 例えば、お菓子を作ってみたり、部屋の模様替えをしたり、映画を観たりするのも良いかもしれません。

    ④運動をする

    心身一如と言いますが、心と身体は繋がっています。よって、心の中の不満や葛藤は運動に置き換えて発散させると効果的です。 ウイルス感染に気を付けた上で、ジョギングや散歩など身体を動かすことも大切です。

    「こうしたい」「ああしたい」という欲求が強いということは素晴らしいことです。なぜなら欲求というのは、人の行動の原動力なるからです。よって、欲求が強い人というのはエネルギッシュな人であるとも言えるのです。ただ同時に、欲求が強いということは、それが叶わないこもと多くフラストレーションを抱えやすいとも言えるかもしれません。

    現実とうまく折り合いをつけ、健全にフラストレーションを解消することが大切なのです。 

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