ストレスのメカニズム~ストレスとは何か?~

ストレスと聞くと、みなさんは何を想像しますか?やらなければならない仕事のこと、付き合わなければならない苦手な人のこと、恋人や家族との付き合い方、など自分をとりまくストレスの要因というのは様々ですよね。

ストレスが全くない生活なんていうことは生きている限りないのかもしれません。人間は自分ひとりで生きているわけでもないですし、すべてが思い通りになるなんていうこともないですよね。

でも、できる限り自分を脅かすストレスを緩和して、快適に心地よく毎日を送りたい、と思いませんか?  実はストレスにはメカニズムがあります。ストレスに対処するためには、まずはストレスの正体を知ることが大切です。

  • ストレスとは何か?
  • ストレスと身体の変化
  • ストレス公式
  • ストレス耐性
  • ストレスとは何か?

    ストレスというのはもともとは物理学用語で物体の歪みをあらわす言葉なんです。例えばゴムボールを指で押すと歪みますよね。このゆがんだ状態を「ストレス」、歪みを引き起こしている指を「ストレッサー」といいます。

    このストレスという言葉を精神医学の世界で用いたのがカナダの生理学者「ハンス・セリエ」という人です。

    では何かストレッサーとなるのでしょうか?

    ストレッサーとなり得るものには以下のものがあります。

    1)物理的ストレッサー: 温度、光、音、過労、睡眠不足など

    2)化学的ストレッサー: タバコ、アルコール、食事や食品、 排気ガス、ホコリ、臭気など              

    3)生物学的ストレッサー: 細菌、カビ、花粉、動物の毒など

    4)心理的ストレッサー: 不安、不満、怒り、憎しみ、喜び、  悲しみ、優越感、嫉妬、劣等感など           

    5)社会的ストレッサー: 職場、家庭、ライフサイクルなど

    昨今のストレス社会では、私たちを取り巻く様々な外的なもの、または内的なものがストレッサーとなることがあるのです。

    ストレスと身体の変化

    私たちがストレスを感じると感覚器官を通じて知覚神経に伝わり大脳の視床下部というところの興奮を引き起こします。それが脳下垂体を刺激して自律神経やホルモンなどの内分泌に影響を与えます。

    だからストレスを抱えると自律神経のバランスを崩して体調が悪くなったり、またホルモンのバランスが乱れて肌荒れしたりなんていうことがあるわけです。

    また、それだけではなく、ストレスにさらされた状態だと、免疫力が低下するので病気にかかりやすくなります。疲れていると風邪を引きやすいというのは皆さんも経験があるのではないかと思います。

    ストレスを感じると大きく分けると3段階の経過をたどっていきます。

    (1)警戒反応期
    ストレッサーの刺激を受けたことを、自分の体に知らせる時期。はじめはその刺激にショックをうけるけれど、そのうちに戦闘体制がしかれて、頭に血が上って血圧があがってドキドキ動悸がおこったりする時期です。

    (2)抵抗期
    ストレスに耐えながら、懸命に頑張る時期。戦闘状態に入って、全身の機能が最も活動する時期です。

    (3)疲はい期
    刺激が強すぎたり、長期に渡ると頑張り切れなくなり、消耗してしまいます。ピンと張り詰めていた糸が切れてしまうような状態です。

    抵抗力が弱まり体の機能が衰えて病気が現れたりします。そしてやがては死亡してしまうこともあります。

    だから、ストレスは早めにケアすることが大切なのです。

    ストレス公式

    でも、ストレスというのは何も悪いものばかりではないんです。ストレスがあるということはある意味、刺激があるということでもあります。

    例えば、転職というストレス(刺激)があったとします。このとき、「今度の職場にはどんな出会いがあるかしら?大変かもしれないけれど、チャンスでもある」ととらえられた場合、この転職は良いストレスということになります。

    でもそうでなく、「また、一から人間関係を築かなければならないなんて面倒だ。どうせ、たいした仕事なんてやらせてもらえないだろうな。ああ、緊張する、逃げ出してしまいたい」などという場合は、悪いストレスと言えるかもしれません。

    こんなふうに同じストレッサーが加えられても、そこに生ずるストレス状態には個人差があるんです。

    つまり、

    ストレス(状態)= ストレッサー × 受け取り方 (身体的条件、個人の人生観・価値観、  性格・素質)                

    で決まるのです。

    ストレッサーを変えることができなくても、自分側の受け取り方を変えることはできますよね。だから、なるべくストレスを良いストレスに変換することが大切です。             

    ストレス耐性

    また、ストレスに対する強さによってもその刺激をストレスと感じるか感じないかというのは違ってきます。こういうストレスに対する強さをストレス耐性といいます。このストレス耐性には次の6つの能力があります。

    ①ストレス感知能力

    ストレッサーの刺激を受けたときに、それに気付くか気付かないか

    ②ストレス回避能力

    ストレスを作りやすい性格がどうか。性格的には几帳面でまじめ、完全主義でものごとにこだわりやすいという人はストレスを作りやすいと言われています。

    ③根本のストレス処理能力

    ストレスの原因であるストレッサーをなくせるか、また弱められるか

    ④ストレス転換能力

    ストレス状態に陥ったとき、そのストレッサーの意味をいい方向に考え直したり、ストレッサーをバネにして生きる能力が高いか

    ⑤ストレス経験

    どんなストレッサーにどれくらい出合ったことがあるか。挫折した経験がなかったり、社会的な経験に乏しいとストレスにやられやすいといえます。

    ⑥ストレス容量

    ストレスをどれくらい溜められるか。ストレス状態の程度がストレス容量の許容範囲ならば、ストレスをストレスと感じないで済みます。

    このストレス耐性はストレスとどのように付き合うかによって高めていくことができるのです。


    ストレスを抱えないためには心の柔軟性が大切です。

    ストレッサーそのものを変えることはできなくても、そのストレッサーの受け取り方を変えたり、ストレス耐性を高めることによって、うまく折り合いをつけることができるのです。

    ストレス学説を唱えたハンス・セリエは「ストレスは人生のスパイスである」と言っています。適度なストレスは私たちを活性化する良い刺激にもなり得るのです。

    次回はストレスの予防法についてお伝えします。

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カテゴリ:コラム