職場のいじめや嫌がらせはなぜ起こる?原因と対処法
コンプライアンスの遵守が声高に叫ばれる昨今、「いじめや嫌がらせは良くない」と多くの人が認識しているかと思います。それなのに、いじめや嫌がらせに関する相談が後をたちません。子供の世界に限ったことではなく、大人の社会でもいじめや嫌がらせが横行しています。なぜなのでしょうか。
- いじめや嫌がらせ加害者の心理
- いじめや嫌がらせが起きやすい環境
- スケープゴーディング現象
- いじめや嫌がらせから脱するためには
いじめや嫌がらせ加害者の心理
いじめや嫌がらせを行いやすい加害者の心理はどのようなものなのでしょうか。
①支配性が強い
相手を思い通りに動かしたいという気持ちが強いタイプです。
②共感性に乏しい
相手がどう思うか、相手の気持ちを察したり共感することができないタイプです。
③自分に自信がなく承認欲求が強い
自信がない、自己肯定感の低いタイプです。自分に自信がないから相手を引き下げ、自分が優位に立たつことで、周りからの称賛を集めたい、認められたいという気持ちが強いのです。
いじめや嫌がらせが起きやすい環境
しかし、このような個人の資質だけが原因ではなく、いじめや嫌がらせが行われやすい環境的な要因があります。
①社員同士のコミュニケーションが少ない
上司や先輩が絶対で気軽に話しかけられない、社員同士で気軽にコミュニケーションが取れないような緊張感の高い職場環境はいじめや嫌がらせが起こりやすいと言えます。
②管理職の指導力が欠如してる
管理職の指示が曖昧で、責任の所在を明確に示すことができなかったり、場当たり的な対応に終始してしまっていたりすることがあります。その結果、職場の人間関係のトラブルに適切に介入できず、事なかれ主義で頼りにならないことがあります。
③ストレスフルな職場環境である
例えば、売上目標を絶対に達成しなければいけない、個人の責任が重い、有休も満足に取れない、業績が悪化しているなどの環境もいじめや嫌がらせを誘発しやすくなります。
スケープゴーディング現象
ではなぜ、このような環境がいじめや嫌がらせを誘発しやすいのでしょうか。
それは、ストレスというのは強いところから弱いところにはけ口を求めて流れる、という性質があるからなのです。
つまり、ストレスは立場が上の人から下の人へ流れたり、主張の強いタイプの人から、自己主張が苦手で人の顔色を窺いやすいタイプの人へ流れることが多いのです。
このような現象を「スケープゴーディング現象」といいます。
スケープゴートというのは「身代わり」とか「生贄のヤギ」をさす言葉です。
私たちは、不満や不安を抱えてくすぶっている時に、誰かをスケープゴートにしてとりあえずのストレスを発散することで、本当の問題から目をそらして、スッキリした気持ちになってしまうことがあります。
例えば、芸能人のSNSのちょっとした失言に対して、鬼の首を取ったかのように、皆で一斉に攻撃して炎上してしまう、ということがあります。
これも、不況などで皆が鬱屈した気持ちを抱えていたり、普段からストレスフルな状態に置かれている人が、ここぞとばかりにスケープゴートを見つけてそれを攻撃することで、本当の問題は何一つ解決していないのに一時的にスッキリしたような気持ちになっているということです。
子供のいじめも同じようなメカニズムがあると言われます。加害者は家庭環境に問題がある場合が少なくないと言われています。これも親に対する不満や、学校に対する不満などの普段くさくさしている気持ちを、いじめのターゲットをスケープゴートにすることで晴らそうとしているということなのではないかと思われます。
いじめや嫌がらせから脱するためには
では、いじめや嫌がらせを受けている場合、どのようにその状況から脱すれば良いのでしょうか。
①状況を「客観化」する
いつ、どこで、誰に何をされたのかを客観的に記録することです。
場合によってはボイスレコーダーなども使い、証拠を集めると良いでしょう。
社内に相談窓口があれば、そのような客観的な記録をもとに相談することが一つの手段です。
②心の安定をはかる
上記のような「証拠がある、いざとなったら相談できる場所がある」ということだけでも心の安定につながります。
また、客観的事実の記録と同時に、自分自身のその時の感情を誰かに話したり、紙に書き出したりすることも心の安定には有効です。
③時には「逃げる」ことも重要
組織に問題があり、改善の余地が見込めないという場合は、移動や転職など、その状況から離れることを決断することも重要な選択肢です。
職場のいじめや嫌がらせは、まじめで責任感が強い人や優しい人がターゲットになってしまうことがあります。
まじめで責任感が強いがゆえに「仕事を放りだせない」と考えてしまいがちですが、あなたの仕事上の役割に代わりはいても、あなた自身の代わりはいないのです。
時には「自分を守る」ことを優先する必要があります。
心理学者のフロイトは「人間は皆、生まれながらにして動物的な本能である『攻撃欲』や『破壊欲』を持っており、大切なことはそれをどのようにコントロールしていくかである」と言っています。
いじめや嫌がらせの加害者にも被害者にもならないためには、自分自身の心の状態をよく理解することが重要です。
心理学やカウンセリングを勉強すると、自分の心の状態や人の心の動きをよく理解することができるようなります。
また、問題解決の方法がわかるようになるため、周りの状況にやみくもに振り回されることが少なくなるのです。

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